先日、私が理事として活動しているNPO法人、ミャンマーファミリー・クリニックと菜園(MFCG)のイベントで映画上映会を開催した。
上映した映画は「Poverty Inc. 」日本語にすると「貧困組織」「貧困ビジネス」などになるのかもしれない。副題で「あなたの寄付の不都合な真実」とある。
この映画を知ったのは昨年秋、MFCGの代表、Dr.名知が渋谷の映画館で上映されたときにゲストスピーカーとして呼ばれ参加したときだった。その時の様子はこちらMFCGのブログに書かれている。
映画についてはサイトにレビュー含めて詳しく書かれているが、寄付をする人たちからみれば良かれと思ってしている寄付が現地の人たちを苦しめている不都合な真実がいくつかの実際の現場やそこに関わる人たちのストーリーで構成される約90分のドキュメンタリー映画だ。
映画の中で出てくる話で思い出したのが、自分が学生の頃、丁度198o年代、飢餓に苦しむアフリカの子供達を救おうを旗印に欧米の歌手が集まり曲を作り世界中に配信していた。私はそれを見たときに「貧しい不毛の大地アフリカ」が頭の中に刷り込まれたように思える。
最近日本では、街頭や雑誌、TVCMでアフリカのやせ細った子供を使い寄付を呼びかけているのを目にする。「1日コーヒー一杯、あなたの支援が子供達を救います」
一方、ネットなどで検索すると巨大なNGO組織が多額の資金を政府や国際機関の援助金や寄付などで集めその使い方が叩かれたりしているのも見かける。
政治情勢、異常気象、天災などによる貧困に対して支援が必要なのは誰でも分かることだが、この映画で出てくるハイチでは大地震から数年経っても大量の支援米が送られ続ける実態などをみると考えさせられ「支援を一生受け続けたい人など居ない」のセリフが頭に残る。
私が12年前から撮影に訪れているミャンマーでMFCGは現地の人たちの自立を目指して活動している。これは映画でも出てくる「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える」現地目線に立つ支援だと信じている。
昨年、MFCGを支援してくれている人たちにインタビューする機会があり、MFCGを支援先に選んだ理由を聞いたとき多くのひとから「私が支援しているお金が現地でどのように使われ、役にたっているのかが見える」と答えてくれた。
私は今回のイベントの最後の挨拶で「寄付の使われ方を考えたとき、MFCGを有力な候補として是非考えて欲しい」と話をした。映画の示す「不都合な真実」に対する答えのひとつにはなっているはずだ。
ただ、元々日本人は寄付やボランティアに対する意識が極めて低いと言われている。私自身も振り返ればMFCGに参加する前は震災などおこれば単発寄付をする程度で継続支援や自分の時間を使って支援とは無縁だった。
キリスト教などは施しの精神があると聞くし、欧米で事業などで成功すると社会貢献活動をする有名人の話も良く聞くが日本では希だ。
MFCGが活動しているミャンマーは寄付指数が3年連続世界1位となっている。英国のチャリティー団体「Charities Aids Foundation」が全世界140カ国で寄付行為やボランティア活動についての調査を行った結果だそうだが、日本は114位。
この映画を見ると「寄付をしない理由」になってしまう可能性もあり、見方によっては日本という国はこの映画が意図することに対する議論の土俵にまだ登ることすら出来ないのかもしれない。
写真は日本の支援で出来たヤンゴンの路面電車跡、開業わずか半年で休止してしまった。理由は利用者が少なく採算が取れないとのこと。このような場所ではそうなるのは多くの人が分かっていたと思うのだが。。