ミャンマー祭り2016

今年もミャンマー祭りが終わった。2日間の短い展示だがほとんどの時間途切れることなく数十人が会場に居たように思え、恐らく1000人は越える人たちが来たと思う。

「日本・ミャンマー交流写真展」は公募のコンテスト入賞作品の展示、安倍昭恵さんの撮られたミャンマーの子供達の展示、そして企画展示の構成になっている。今回はこの企画展にヤンゴン在住の兵頭千夏さんと私の作品を各40点づつ展示させてもらった。

私の展示作品は昨年12月にギャラリー冬青で展示したものに追加、再構成した。兵頭さんはミャンマーの一年を季節・月毎に祭りやイベント、生活習慣などを活き活きと写した作品。私も知らないことが多く観に来た人たちも興味深く写真毎の説明を読んでいた。

今回、私も各写真に簡単な説明を付けたが、思っていた以上に読む人が多かった。写真だけで全てが伝わるのが理想なのだが、補足できるテキストは有効だ。特に今回のようなイベントでの展示は普段写真展に行かない人に見てもらうためには必須なのだろう。

予想はしていたが何人かに聞かれたのは「今でもフィルムって売ってるんですか?」とか「カラーで無いのはどうしてですか?」、「ミャンマーを撮り始めたきっかけは?」、「ミャンマーの魅力って何ですか?」などだった。

私自身は良く聞かれることなので答えはいつも決まっているが、それなりにみなさん納得していたようだ。

ただ、多くの人からはモノクロプリント自体新鮮で「美しいモノトーンの世界」、「被写体に引き込まれるようだ」、「ミャンマーへ行って見たくなった」、「被写体に対する亀山さんの気持ちが伝わって来ます」など好意的な言葉が多かった。

まぁ、ミャンマー祭りなのだからミャンマーが好きとか何かしらミャンマーに関係のある人たちなのだからその分は相当上乗せされているのだろうが。

また、コンテストではミャンマーで撮影を続けている若い友人たちが入賞し表彰を受けていた。今回の受賞が今後の撮影活動に大きなプラス、モチベーションになって行くことは彼らの表情やSNSの書き込みを見ると伝わってくる。その書き込みをにはこう書かれていた。

“「ミャンマーを旅して出逢う人々との瞬間を美しく切り取りたい」と云う理由で写真を撮り始めた自分にとって最も憧れていた写真展だったのでこの上なく幸せを感じています。”

大きなイベントは回を重ね、このようにして歴史を作っているのだと実感した。彼、新畑克也さんとは大塚のギャラリーで仲間とミャンマーの写真を展示していたのを見に行って知り合い、今年は横浜の綱島に有る旅カフェ「Point Weather」新畑克也写真展をしていたのを観に行き、ミャンマーに対する熱い思いを目の当たりにした。彼はミャンマーで劣悪な環境に虐げられているロビンギャと呼ばれている人たちのところに通い撮影を続けている。昨年の総選挙で大勝したアウン=サン=スーチーシ率いるNLDが未だ何も解決に向けて動かない中、諸外国から人権問題として圧力をかけられているミャンマーが抱える闇の部分だ。彼が応募した作品はチン州の女性を窓越しに撮った一枚だった。もしかしたらロビンギャの人を撮ったのを出したかったのかもしれないが問題の根深さと難しさを考えた上の選択だったのだろうと。チンの女性は顔に独特の刺青をしている。チン州のあたりも少数民族が小競り合いを続けて来た歴史があり、一説には女性が拐われないように刺青で醜くしていると言われている。ロビンギャとは異なるがこれも理不尽な事柄という点では共通している。そう言った点もあるが写真として観ると画面構成、タイミングや表情などから伝わってくる強さは賞に値する作品で審査委員長の関口照生氏もコメントされていた。

今回もコンテストの審査を手伝わせてもらったが過去と比べて印象深い作品が多かった。大賞を取ったヤンゴン中央駅で撮られた一枚、何気無い水甕を美しく切り取った一枚などなど。また、時代を反映してドローンによる作品も見受けられ、次回以降さらに増えることだろう。

次回以降も何かしらの形でミャンマー祭りには関わり、ミャンマーと日本の架け橋の一端にでもなれればと思っている。

展示期間中、写真集を置かせてもらい、幸いなことに8冊買ってもらえた。初めて会って話をしただけだが何かしらが引っかかり購入に至ったのだと思うととても嬉しい。
写真集は1冊売れたら1000円を私が参加しているNPO法人“ミャンマーファミリー・クリニックと菜園の会(MFCG)”に寄附しミャンマーの無医村の人たちの自立支援に役立てようと決めている。これは今の私にできるわずかなミャンマーへの恩返しだ。

それと、本来だったら私も全力でMFCGのブースで、1人でも多くの人に活動の内容をしってもらい支援の輪を広げなければならなかったのだが、写真展会場にこもりっきりで何もできなかったのにも関わらず打ち上げで暖かく向かえてくれた仲間達に感謝感謝。

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☆展示メモ

・会期:2016年11月26日10:00-18:00、27日10:00-16:00
・会場:東京芝増上寺内慈雲閣1階

日本・ミャンマー交流写真展企画展
銀塩モノクロプリント40点

・タイトル:「雨安居」

・展示説明:
私は2005年からミャンマーを訪れてますが最近は雨季の8月に行くことが多くなっています。ミャンマーは乾季と暑季、そして雨季の3つの季節があり、ガイドブックなどには観光に適しているのは11月から2月ごろまでの乾季と書かれています。確かに雨季は激しいスコールに遭遇し途方にくれる時もありますが、私がいつも訪れているシャン州のインレー湖はヤンゴンに比べると雨が降り続くことは少なく、晴れたり曇ったり所によりスコールが繰り返し、写真を撮るには変化を楽しむことができますし、オフシーズンのため普段は観光客の多い場所も静かで落ち着いて撮影が出来ます。どこかの軒下や僧院などで市場で買った果物をかじりながらノンビリと雨をやり過ごす時間も良いものです。

雨季に当たる7月から10月まで仏教では雨安居と呼ばれる期間になります。雨安居は悟りを開いた釈迦が弟子に教えを説いた時期とされ、その期間僧侶たちは遊行に出ることをせず僧院で修行に励み、病気などを除き外泊が許されません。

ミャンマーでは結婚式や引越し、会社設立など慶事に僧侶を招き盛大に寄進をしますがこの期間は僧侶が修行に籠るため慶事は控えることになるり、仏教徒が8割を超える国なので村々は静かで落ち着いた雰囲気を感じます。彼らに聞くと雨安居の期間はいつも以上に僧院へ通ったり寄進に励み得を積む日々を過ごす大切な時期と話してました。

昨今の急速な経済発展で様々な物を目にするようになったり、スマートフォンの普及で広い世界に触れる機会も増え社会全体が大きくて変わりつつある中でもミャンマーの人たちが一番彼ららしく暮らしている姿をフィルムに収めることが出来るのが雨安居の頃だと私は思っています。

ミャンマー祭り2016写真展示

2016年11月26日土曜と27日日曜に東京芝増上寺で開催されるミャンマー祭り2016で昨年に続き写真を展示します。日本・ミャンマー交流写真展があり、ミャンマー日本両国から応募を募る写真コンテストがありそれと同時に企画写真展があり、今年はヤンゴンに在住の兵頭千夏さんと共に私もモノクロプリント40点ほど展示します。

作品は昨年12月に冬青社で展示した「雨安居」を元に今年の8月に撮った新作を数点混ぜて構成し直しました。

ミャンマー祭りは例年2日間で5万人くらいの来客があり、写真展会場にも1~2割程度の人たちがきます。少なめに見積もっても数千人、所謂写真ギャラリーで展示してもこれだけの人が来るのは希だと思います。しかも何かしらミャンマーに関係していたり、興味がある人たちです。昨年もほぼ会場に居ましたが人が途切れることはありませんでした。

展示の案内はミャンマー祭り公式サイトに載せてもらいました。

その中でも述べていますが、私がミャンマーでデジタルカメラが一般的になった今でもモノクロフィルムを作品作りをしている理由があります。

例えばミャンマーの美しい風景やミャンマーの人々の笑顔、黄金に輝くシェダゴンパゴダなど具体的な対象を撮影するのであればデジタルカメラを使いカラーで撮影するのが適していると思います。

私がミャンマーで撮影しているのはミャンマーであり、ミャンマーの人々がですが、写真を通して表現したいのは、目に見えている景色とは少し異なります。言葉では説明し難い心の芯で感じるようや感覚や感情であり、例えば気の遠くなるような時間のなかで積み重なり続けたものや、信念や思いのこもったものなどに出会った時の言葉では簡単に言い表せないものを被写体を通して表現したいと考えています。私がミャンマーで撮影を続けているのは心の芯で感じる人々や長い時間が作り出した風景に多く出逢えるからだと思っています。

デジタルカメラは撮影時に画像が直ぐ見られて便利ですが、フィルムプリントするまで数週間かかります。撮りたいと思い撮影したとき頭に残った記憶は時間が経つにつれ薄れたり、強くなったりし撮影時に見て感じたものと異なる曖昧なものかもしれません。記憶の中で蘇る撮影時に感じたものを再現させるのに、色のない光と影で描き、創り上げるスタイルが自分の美意識・表現にあっていると思っています。

こちらの写真は展示する1枚です。ミャンマーでは雨季に当たる雨安居の期間、20冊にも及ぶパーリ語でかかれた教典を読み上げ徳を積む人たちが居ます。ただそのメンバーになるのは簡単では無いようで彼はそれに参加したいためここで毎日仕事帰りに黙々と練習しているとのことでした。

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今週末からミャンマーへ

今週の金曜日(8/5)から8/14までミャンマーへ撮影に行く。
2014年12月以来1年半ぶりだ。今回もヤンゴン経由インレー湖メインの撮影。

今回は来年12月の個展を見据えた撮影になるが、今までとは少し違うアプローチも考えて準備を進めている。2011年の政策転換から2015年の選挙による政権交代を経て変わりつつあるミャンマーで暮らす人達の考えていること、望んでいることなど知りたいことは尽きない。

今まで、ヤンゴンに入って国内線飛行機でインレー湖に向かっていたが今回初めて夜行バスで移動する予定だ。数年前では考えていなかった昨年頃からバスも道路も改善され、利用者も増えていて値段も手頃だとインレー湖でいつもお世話になっているAnnさんから提案された。ヤンゴンに1泊するホテル代、飛行機代と合わせるとその数分の1の費用で済む。それにある程度バスで寝れれば翌日午前から時間が有効に使える。まぁ乗り物で寝るのは苦手なのできっとあまり寝れないだろうが、ホテルに朝着いて、午前中くらい仮眠を取れば午後からは動けるはずだ。写真は2014年8月に訪れた時のスコール。雨季は1日の中で天気が何度か変わる、観光客も少なく私の撮影には一番適している時期だと思っている。

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ここ数ヶ月、日記をサボっていたが、FacebookなどSNSの普及でBlogがすっかり疎かになるのは仕方無いが後年自分で読み返したいことはやはり書き残しておきたい。

新年

本日、4月17日はミャンマーの新年です。
この時期のミャンマーは1年で最も暑い季節になり、現地では通称「水掛祭り」が全国で派手に行われています。水を掛けるのは暑いからだけでは無く、日本で言えば大晦日に1年の悪いことを水で流す意味もあるそうです。

昨日、私がミャンマーを知るきっかけを作ってくれてその後撮影の度にいろいろお世話になっているAnnさんがバンコク在住のDr.田中氏が我が家に来ました。前日から箱根に泊まられていたので私が土曜の朝、箱根の仙石原界隈のホテルまで来るまで行きそのまま芦ノ湖スカイライン、ターンパイクとドライブしながら途中我が家に立ち寄りました。Annさんが富士山を観たいと言うことで箱根で富士山が見えるホテルを探したそうですが、偶然にもそこは私が数年前に泊まったことのあるホテルでした。

ドライブの途中に寄ったドライブインでAnnさんはイチゴを2パック買って、我が家で紅茶を飲みながら食べました。そのとき食べる前にAnnさんが我が家の食器棚を観て小皿を指さし、私が渡すとイチゴを2コほど載せてリビングに置いてある金の仏像(私がいつも訪れるインレー湖の仏像屋さんでもらったもの)の前に置いて手を合わせていました。

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そのあと、小田急ロマンスカーで新宿に向かいました。前日本当はロマンスカーで箱根へ向かう予定だったそうですが、人身事故がありロマンスカーは運休。急行で箱根まで行きとても遠く感じたそうです。ロマンスカー(一番新しい車両、VSE)に乗っての感想はとても快適で昨日(往路)も乗りたかったと話していました。夜はもう1人合流しいつもの新宿イタリアンで食事をしてきました。

Annさんにとっての大晦日、とても楽しい1日だったと御礼のメッセージが来ました。
今まで沢山お世話になっていたので少しでもお返しが出来たと思っています。

ミャンマーのみなさん、”新年あけましておめでとうございます”とミャンマー語でどのように言うのか分かりませんが。。(まだまだ勉強不足)

3回目の挑戦(Bas教授レビュー2016)

先日、オランダから来日し現在ギャラリー冬青で展示中のバス教授のポートフォリオレビューを受けた。今年で3回目になるレビューだが回を重ねる度により作品に対して深い内容、と言うよりバス教授が示す方向性が見えるように感じている。
2014年の1回目、私は2013年7月に冬青で展示し写真集を出版したThanakaを展示のセレクト、順番もそのままで出した。2015年は自分の生活圏で撮っている模索中の別のシリーズを見て貰った。そして今回は2015年12月に冬青で展示したThanaka IIをベースに、何点か差し替えて再構築した30点でレビューに臨んだ。

12月の展示を終えてから、2017年12月の展示に向けて今一度Thanakaの原点から考え直し向き合う必要を感じていた。いくつか考えていた構成を盛り込み、少し実験的な要素も入れてレビューのテーブルに着いた。

バス教授のポートフォリオを観た第一声は「Hitoshiがミャンマーへ戻ってきて良かった」だった。1枚ずつコメントを挟みながら観ていく中である1枚で手が止まった。その1枚に多くの言葉を発していたが、その内容は「はい、そうですね」と同意できるモノでは無かったが、そのように読み取られるのは興味深かった。

ステートメントに書いていない内容を私がいくつか話すと、頷くことと、Noと言う場合もあった。冬青社高橋社長からはバス教授に言われて頷くだけでなく、自分の主張・意見・意図を話して下さい、そこから引き出される内容が大切と何度も言われていたことを思い出す。

持ち時間は気付くと残り5分になっていた。昨年、一昨年は持ち時間を持て余し気味だったのが頭の片隅によぎり、3回目にしてやっと自分で作品に自分の言葉で主張できた。残り時間が殆ど無くなりつつあるなか、もう1枚バス教授が手に取り熱く楽しそうに語ってくれた。

1日のレビューが終わり座談会形式の質疑応答のとき、バス教授がレビュー途中の休憩でたばこを吸っているときに思い浮かんだ私の作品に対するアイディアも聞かせてくれた。その内容は私にとって、すぐに飛びつける内容では無く高いハードルに今は思えるが、8月の撮影で取り組んでみようと思っている。

12月の展示から追加したうちの1枚。この1枚は私にとって次を目指すきっかけになったくれるだろう。

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