3月21日、雪の舞うなか横浜本郷台にあるあーすぷらざで映画「チョーミン楽団が行く!」の上映会&写真展を観に行ってきました。
映画はミャンマー中央部、遺跡で有名なバガンの近くにある芸能が盛んな村を舞台に展開しています。役者が出ている映画ではなく、サインワインというミャンマーの伝統楽器を演奏する”チョーミン”さんが率いる楽団の日常を追いかけています。
ミャンマーの季節は大きく雨季と乾季に分かれます。雨季は農繁期で仏教上の”安居”にあたるため慶事のイベントはほとんど行われず、主たる産業の農業に勤しみ静かに暮らしている印象があります。乾季になると結婚式や会社の立ち上げ、そして仏教徒の彼らにとって人生最大の儀式と言われている得度式があちらこちらで催され、その席に呼ばれ盛り上げ、喜ばれるのがチョーミン楽団になります。ミャンマー中に数百の楽団があるとも言われていますが、この映画の主役チョーミン楽団はトップレベルのパフォーマンスと人気を誇っているそうです。
映画の詳しい内容が書きませんが、美しいミャンマーの映像と軽快な音楽、日常に展開する人間模様など約2時間の上映はアッと言う間に終わってしまいました。
あわせて、ミャンマー最大都市ヤンゴンで活動する写真家・後藤修身氏、兵頭千夏氏が同行取材で撮られた写真展もあーすぷらざで開催されていました。映画の上映会は3/21のみでしたが写真展は4/22まで開催されています。
後藤さんとは2014年にミャンマー祭りで一緒に写真展を開催し、その時展示されていたのがチョーミン楽団でした。この映画を観ていたときミャンマー祭りで展示されていた作品を思い出しました。
兵頭さんとは2015年に同じくミャンマー祭りで一緒に写真展を開催しました。
映画の撮影・構成をされた石谷崇史氏には2月のヤンゴンで開催されたJapan Myanmar Pwe Tawでいろいろお世話になり、今回は自分とミャンマーを繋ぐ縁の深い映画・写真展です。
「チョーミン楽団が行く!」は有名な俳優が出ているわけではありません。派手なアクションやミャンマーの人が好きな恋愛ストーリーもありません。ただ彼らの日常に目を向けて伝統音楽を守り続ける姿勢を淡々と捉えています。チョーミンさんの話した言葉が映画のパンフレットに書かれてています。
「音楽が穏やかならが、人も穏やかになる」「音楽がなくなれば、人もなくなる」
映画を観て、この言葉を聞いたあと自分がミャンマーで撮っている写真を思い出しました。この楽団が活動している地域はまだ電気などライフラインは普及しておらず、人々の娯楽のひとつがこのサインワイン楽団だそうです。この先テレビやスマートフォンの普及で娯楽が多様化していく中この伝統芸能が今のように盛んに続くのだろうか?
日本の伝統芸能の類いも元々はミャンマーのサインワインのような位置付けで人々の間に浸透していたのではないか?
ここ数年、私はミャンマーで時代と共に「無くなるだろうこと」と「変わらないだろう、変わって欲しくないと願いたい」を念頭に撮影をしています。私が子供のころと今の日本を比べると世の中は様々大きく変わってきました。便利になる一方で失われるものも少なく有りません。
映画「チョーミン楽団が行く!」はこれからも多くの人たちに観て欲しいと思います。また上映の機会があれば是非行きたいと思います。画面の中には多くのもの、思いが吹き込まれていて1度や2度では全てをすくいとれないです。