4月初旬に送られてきた写真集の初稿を元に3回目の編集会議。
編集は冬青社の高橋社長にお願いしているのだが、社長がブログで初稿を手に苦労されている様子が書かれていた。
編集会議の3日前、私にも届いていた初稿を観ると綺麗に印刷が出ているのもあれば、コントラストが??なのがあったり、プリントであればスポッティングの必要なカットもあった。印刷の場合どのような指示になるのか分からなかったが自分なりに気になったことを各カットに付箋を貼りつけていった。大四つ印画紙プリントが原稿になっているのだが、原稿時点でコントラストが多少高い低いが数枚有ったのだが、その写真がそのまま高い低いに再現される訳では無かった。どうもプリントのトーン、コントラストがそのまま印刷に再現されない場合もあるようだ。
ちょうど社長が初稿を手に苦労されていた頃、ギャラリー冬青を訪れた渡部さとるさんが日記で触れてくれていたくだりで「社長が悩むのはいいことだ」とあった。これを読んだ私は編集会費では社長とプリントディレクター杉山氏に任せようとと考えるしかなかった。印画紙プリントは多階調ペーパーなのでコントラストをフィルタで、濃度を露光で決める。しかし印刷は勝手がわからない、版を作ると聞いても、そもそも版ってどんな"モノ"なのだろうか・・・
編集会議当日、凸版さんが来る前に私と社長で初稿を確認する。私はプリントの感覚で各カットの修正意図を伝え、社長は初稿にメモを書き込み続ける。そして社長が数日悩み考え出した結論を私に話してくれた。その方針に従った凸版さんと話をすることになった。
凸版さんの営業猪野さんと杉山氏が来られ社長が1枚1枚確認しながら杉山さんも書き込みを加える。となりで「分かりました」「そうしましょう」「それではこのように進めます」などと淡々と答える杉山さんを見守るしか無かった。
後日社長がブログでこの時のことについて書かれていた。
一冊の写真集を仕上げるために多くの時間とプロの技が必要だと改めて実感した。
ここまで来ると、5/8,9の印刷立ち会いを残すまでで、初めて観る印刷がとても楽しみだ。立ち会いが完了すると、製本され6月初旬に発売となる予定だ。
写真集のタイトル「Thanaka」は日本語で"タナカ"と発音し、ミャンマーで主に女性や子供が頬や額等に塗っているクリーム色のモノ(写真の女性が頬に塗っている)。柑橘系の木の幹を水を垂らした石の上ですりペースト状にし塗る。私も現地で塗って貰うが冷やっと涼しく日焼け止め効果があるそうだ。いろいろ考えた末に決めたタイトルで私自身はとても気に入っている。