6月15日(土)、中野の冬青社ギャラリーへ7月展示用のプリントを持参した。2階の部屋に上がり、箱を開け社長が手袋をして一点一点観ながら手を進めていく。
自分としては写真集の仕上がりを頭の片隅に今のベストを尽くしたと自負していたし、不安は無いつもりで居たが、いざその場になると何とも言えない汗を首筋に感じた。
写真集の原稿に使用したプリントと同じRolleiの印画紙だったし、そんなに大きな違いは無いはずだが、強いて言えば引き伸ばし機が違う、その差がどこまで影響しているのか厳密にはわからない。それでも社長の口から「このプリントを原稿に写真集作っていたらもう少し印刷が楽にできましたね」と言われ、それは写真集の原稿よりプリントが良くなっていることを意味している。プリントは常にベストを尽くしているが、まだまだ完成の域に達している訳では無く、同じカットを回数重ねてプリントすれば少しずつ変わっていくことはあるのだろう。
プリントを確認し、マットの窓寸、展示レイアウト案のチェックを済ませ、ギャラリーに降りてくるとホッとして、やっと今月展示の比嘉 良治氏の「海と岩の語りを読む・琉球諸島」をゆっくりと2周。私のイメージしていた優しく美しい南国の海辺とはかけ離れた荒波に現れ神々しい姿をした岩が印象的だった。キャプションに島人にとって海と陸の接点が彼らにとって神聖で重要と書かれていた。
ギャラリーには私の写真集がすでに販売されている。店頭分にサインを書いていると、比嘉さんの知り合いの女性の方が一冊手に取り購入して頂いた。話を伺うと何度かミャンマーに行かれていて「Thanaka」をご存じだった。帰り際、写真展のDMを数枚持ちミャンマー仲間の人にも渡して頂けるとのことで、目の前で写真集が売れる喜びと重みを感じた時間だった。
写真展DMの2人の女性は私がいつもインレー湖でお世話になっているホテルのスタッフ。人の出入りが多いミャンマーで二人とも私の記憶している限り最初に訪れた2005年からずっと居る。左の背の高い女性はきびきびと働いたり、踊りの時に普段と違う笑顔が印象的。右の女性はお姉さんがマッサージをしてくれるので良くっていたがその妹さんだったことは3年前くらいに知った。もう一人下に妹が居てやはり、ホテルで働きたいと言っているそうで、もしかしたら次回行くときには会えるかもしれない。彼女たちの実家はホテルからボートで30分くらいのインレー湖では有名な景勝地、インディエンで食堂をやっている。毎回行くところで何度か、その妹さんに会っている。前に会ったときは小学高学年くらいだったがホテルで働くことに備え英語を勉強したいと話していた。